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認知症について

その“物忘れ”「歳のせい」だと思っていませんか?

認知症の初期症状として知られている物忘れ。しかし、加齢により誰にでも起こり得る物忘れとは違います。

加齢による物忘れ
加齢による物忘れ画像

食事のあとに、「何を食べたか思い出せない」という状態。
これは、出来事の一部を忘れてしまうにとどまります。

→日常生活に支障をきたさない
認知症による物忘れ
認知症による物忘れ画像

食事をしても、食事をしたこと自体を忘れてしまいます。
そのため「ごはんはまだ?」と何度も催促してしまうことがあります。

→日常生活に支障をきたす

この1〜2年間で、同じことを何度も言ったり聞いたりする、物を置き忘れたりする、人の名前が思い出せないなどの変化がみられる場合には認知症の可能性が考えられます。

認知症とは?

中核症状 認知症患者に必ずみられる症状 何度も同じことを聞く、言う 料理を作る、電話をかけるなど複雑な動作が困難になる 日時や場所が正しく認識できない 周辺症状 人によって差がみられる症状 趣味や習い事に興味をなくす、物事への関心・意欲が低下する 物を盗まれたと訴える 不眠または過眠

認知症とは「脳や身体の疾患により記憶・判断力などに障害が起こり、日常生活に支障をきたす状態」とされています。

認知症の診断と治療

診断
診断画像

本人や家族への問診、知能テスト、画像診断、血液検査などの結果を総合的にみて、診断がされます。日々の生活の様子や、いつ頃から症状が出始めたか…などの情報も診断の際に必要となりますので必ずご家族の方と一緒に病院に行くようにします。

ご本人もしくはご家族の方で、「もしかしたら認知症かもしれない」と思い当たることがありましたら、早めに医師に相談しましょう。
かかりつけの病院で気になることを相談するのもよいでしょう。
「もの忘れ外来」など認知症を専門に診察する医師もいます。

治療
治療の3本柱 薬物療法 症状の進行を遅らせて、物忘れや判断力の低下を改善させる効果が期待できます。 被薬物療法 脳を活性化させる目的で、回想法や音楽療法などがおこなわれます。 介護(ケア) ご家族や介護者、地域によるサポートも重要です。デイケアやヘルパーなどの福祉サービスを利用するのもよいでしょう。

現在ではまだ認知症を治すことはできませんが、治療やケアにより症状の進行を軽くしたり遅らせることができます。また、早めに治療を開始するほど、治療効果が高いことがわかっています。
認知症の治療においては、早期からの適切な治療が大切です。

認知症における治療の目標は、症状の進行を遅らせて患者さんのQOLを維持することです。ご家族や介護者は、治療は病気を治すものではないことを理解したうえで患者さんの治療に対する意欲を導き出すことが重要です。

認知症の代表的な検査

認知症の診断におけるスクリーニング検査

◯ ミニマルステート検査(MMSE: Mini Mental State Examination)
・認知機能障害のスクリーニングとして、臨床および研究において国際的にも広く用いられている。
・言語機能を用いる検査が29点(検査内容:見当識、言語性記憶、全般性注意・計算、言語)、図形模写が1点の計30点で評価する。一般に23点以下を認知症の疑いとする。

◯ 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
・MMSEと高い相関がある。
・すべて言語を用いる検査で、記憶に関する項目はMMSEより多く、一般に20点以下(30点満点)を認知症の疑いとする。

軽度認知障害(MCI)を疑う場合の検査
MMSEは軽症例、病前能力の高い場合、視空間認知障害を主症状とする場合には感度が低く、一方、軽度でも言語障害のある場合には低得点になる。

◯ MoCA-J (Montreal Cognitive Assessment-Japanese version)
・5単語の記憶想起を行い(MMSEでは、3単語)、前頭葉機能の検査も含むもの。
・MMSEで26点以上のMCIにおいて、MoCA-Jで26点(30点満点)をカットオフ値とすると、感度・特異度ともに良好となる。

◯ ACE-R (Addenbrooke's Cognitive Examination-Revised)
・MMSEに前向性/逆行性記憶、語列挙、視空間認知機能などの検査を加えたもの。
・カットオフ値を88/100とした場合感度・特異度ともにMMSEより良好となる。

治療

いずれの評価法利用の場合においてもカットオフ値のみで判断するのではなく、病前に比べての変化を的確に捉えることが重要です。
病前の能力や診察の際の心身の状態などを十分に考慮しましょう。

日常生活で気を付けたいこと〜患者編〜

日常生活で気を付けたいこと〜ご家族・介護者編〜

こんなときは?認知症における対応のポイント〜ご家族・介護者編〜

ご飯を食べたばかりなのに「ご飯を食べていない」「ご飯はまだ?」と催促する ×「さっき食べたでしょ!」 〇「すぐできるから待っててね」 「財布を盗まれた!」と怒る ×「盗っていません!」 〇「おやつを食べてから探しましょう」

認知症の症状である「物忘れ」によるものですので、患者さんへの訂正や説得は期待できません。逆にこれを上手に利用し、関心を別のものに向かわせたり、話題や状況を変えてみましょう。

認知症と診断された患者様のご家族の方へ

【監修】医薬情報研究所/株式会社エス・アイ・シー
公園前薬局(東京都)薬剤師 堀 美智子 先生
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