菌について

名前
治療薬 抗菌薬
大きさ 0.001mm

かぜかな?

抗菌薬が出ている場合

症状の原因は、菌かもしれません。

菌が原因の場合、抗菌薬の効果が期待できます。
薬局で受け取った薬を用法・用量を守って、最後まで飲み切りましょう。

同じような症状でも原因が菌とウイルスとでは、治療が異なります。薬局で受け取った薬は、正しく飲みましょう!

菌と人間の違いは「細胞壁」

菌も人間と同じように細胞からできています。人間はたくさんの細胞からできていますが、菌は1つの細胞からできているので単細胞生物とも呼ばれています。菌は1つの細胞で形を保つために、厚くて固い「細胞壁さいぼうへき」をもっているんですよ。

菌と感染症

菌は鼻や口から人間のからだの中に入っていきます。そして、呼吸器感染症や腸管感染症などを引き起こします。
呼吸器感染症の中の急性咽頭炎きゅうせいいんとうえん扁桃腺炎へんとうせんえんの原因細菌として一番多いのが、A ぐんβ溶血性連鎖球菌ようけつせいれんさきゅうきん溶連菌ようれんきん)です。
溶連菌による呼吸器感染症は、小学生~高校生に多く、のどの痛みや発熱などの症状が生じます。

菌と抗菌薬

感染症が起きているからだの中で、菌は仲間をどんどん増やそうとしています。そこで病気を治すために「抗菌薬(抗生物質)」を飲んで、菌が増えるのを抑えたり、菌を壊します。
抗菌薬にはさまざまな種類があり、原因の菌に対してそれぞれ効果のある薬を使い分けています。

人間の生活にも役立っている菌

菌の仲間は、人間のからだに入って感染症を引き起こすものばかりではありません。
例えば、納豆やチーズも作るのに実は菌が必要なんです。他にも人間のからだの中にいるビフィズス菌や大腸菌だいちょうきんなどの腸内細菌ちょうないさいきんは、食べ物の分解やビタミンを作り出すお手伝いをしています。

ウイルスについて

名前 ウイルス
治療薬 抗ウイルス薬
大きさ 0.0001mm
感染症を引き起こす病原体微
生物の中で一番小さい

かぜかしら?

抗菌薬が出ていない場合

症状の原因は、ウイルスかもしれません。

ウイルスが原因の場合、抗菌薬の効果は期待できません。そのため抗菌薬は出ないことがあります。薬局で受け取った薬を用法・用量を守って飲みましょう。また栄養や水分をしっかり摂って安静にしてゆっくり休みましょう。

同じような症状でも原因がウイルスと菌とでは、治療が異なります。薬局で受け取った薬は、正しく飲みましょう!

細胞をもたないウイルス

菌には細胞があるので、栄養を摂ってエネルギーを産生して運動したり、仲間を増やすことができます。でもウイルスには細胞がないので、仲間を増やすためには細胞に入らないといけません。ウイルスの多くは人間のからだの細胞に入って仲間を増やして……を繰り返して、増えていくんですよ。

かぜの原因のほとんどがウイルス

かぜ症候群しょうこうぐんとウイルス

皆さんが「かぜ」と呼ぶ病気は、「かぜ症候群」です。かぜ症候群には、感冒かんぼう、インフルエンザ、プール熱などさまざまな病気の型が含まれています。かぜ症候群の原因は80~90%がウイルスであり、それぞれの病気の型で原因になるウイルスは異なります。
ウイルスは人間の手などの皮膚にくっついて食事と一緒にからだの中に入ったり、くしゃみや咳をしたときの口からのしぶきにくっついて他の人間のからだの中に入ります。そして鼻水やのどの痛み、発熱などのさまざまな症状を引き起こします。

かぜ症候群の治療

ウイルスが原因のときは、安静にして栄養と水分をしっかり摂って休むことが治療の基本です。発熱や咳などの症状に対して効果のある薬を使用することもあります。
現在、かぜ症候群のうち効果のある薬があるのは、インフルエンザだけなんです。インフルエンザの薬である抗インフルエンザウイルス薬は、人間のからだの細胞の中でインフルエンザウイルスが増えるのを阻害することで効果を発揮します。

菌と抗菌薬の関係

菌のタイプによって、効果のある抗菌薬は異なります。効果のある菌の範囲をスペクトルといいます。薬6のような抗菌薬は広い範囲の菌に効果があるので、広域スペクトル抗菌薬とよばれます。
スペクトルは抗菌薬の「強さ」を表すものではなく、薬1のようにスペクトルが狭いものでも菌に対する効果が大きい抗菌薬もあります。

医師は感染している場所や症状から原因となりそうな菌を想定し、スペクトルなどを考えながらからだを守ってくれる抗菌薬を選んでいます。

抗菌薬は菌だけじゃなく、人間の細胞も壊す⁉

抗菌薬にはさまざまなタイプがあり、代表的なものに「細胞壁合成阻害薬さいぼうへきごうせいそがいやく」があります。これは菌の細胞壁を壊すことで、菌が増えるのを抑えたり菌そのものを壊します。しかしウイルスは細胞壁がないので壊すことができず、抗菌薬の効果が発揮されません。また、人間の細胞も「細胞壁」がないので壊されることはありませんが、人間のからだの中にいる腸内細菌は抗菌薬で壊されてしまうことがあります。これは副作用として下痢などの症状を引き起こします。抗菌薬を飲まなくなると治まりますが、抗菌薬の仲間には副作用が弱いものもあるので、医師や薬剤師に相談してみてくださいね。

正しく薬を飲みましょう

  • 受け取った薬を用法・用量(薬を飲む時間と飲む量)を守って飲む
  • 症状がなくなっても、薬を飲むのをやめずに最後まで飲み切る
  • 抗菌薬が出なかったときは栄養と水分をしっかり摂って、ゆっくり休む
    ★ ウイルス性のかぜ症候群の場合、抗菌薬は飲みません
  • 抗菌薬に限らず、医師・薬剤師から受け取った薬はしっかり飲む
  • 症状がよくなったら薬を飲むのをやめる
  • 家に残っている薬を飲む
  • 家族・兄弟の薬を飲む
  • 自分で薬の量を決めて飲む

症状がなくなったから、抗菌薬を飲むのをやめた

家に残っていた抗菌薬を飲んだ

抗菌薬を正しく飲まないと起こること

薬剤耐性

抗菌薬を正しく飲まないと「薬剤耐性やくざいたいせい」が起きてしまうかもしれません。「薬剤耐性」とは、抗菌薬に対して菌が抵抗する、つまり抗菌薬が効きにくくなってしまう現象のことです。薬剤耐性が生じると効果のある薬が限られてくるため、症状が治りにくくなったり、病気が長く続くことに繋がります。自分たちのからだを守るためにも、受け取った薬はしっかり用法・用量を守って最後まで飲むようにしましょう。

抗菌薬は正しい知識をもって使えば、みんなのからだを守ってくれます。受け取った抗菌薬や薬は医師や薬剤師に言われたことを守って飲んでくださいね!感染症の予防のためにできることは薬を正しく飲むことだけではありません。菌もウイルスも口や鼻からみんなのからだの中に入って、感染症を引き起こします。家に帰ったときや食べ物を食べるときには手洗いをしっかり行いましょう。周りの人に感染させないために、くしゃみや咳をするときにマスクやティッシュなどで口や鼻を覆うことも大切です。
自分だけでなく家族、兄弟そして友達のからだを守るために、手洗い・マスクなどで感染を予防して、薬は正しく使ってくださいね!