がんばりすぎていませんか?

どんな人にも、元気なときとそうではないときがありますよね。女性は特に、ホルモンのゆらぎがからだやこころに影響してしまうことがあります。「なんだか最近疲れやすくなった」「ささいなことにイライラする」そんな風に感じたら、更年期症状が現れているのかもしれません。
放っておくと、からだやこころがもっと疲れてしまうこともあります。こころの声にゆっくりと耳をかたむけ、少しだけ肩の力を抜いて過ごしてみましょう。

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ホルモンのゆらぎ、がまんしないで

気分が落ち込んだりイライラしたり、からだがほてって汗をかいたり……そんな症状で悩んでいませんか?もしかしたらそれは「更年期症状」かもしれません。閉経前の5年間と閉経後の5年間は更年期とよばれていて、女性ホルモンの分泌量が大きくゆらぎながら低下していきます。人によって程度は異なるものの、女性ホルモンのゆらぎに伴ってこころやからだにさまざまな影響を及ぼします。

主な更年期症状

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<こころの症状>

  • 気分の落ち込み
  • 意欲の低下
  • イライラ
  • 情緒不安定

<からだの症状>

  • ほてり
  • のぼせ
  • ホットフラッシュ
  • 発汗
  • めまい
  • 動悸
  • 胸が締めつけられるような感じ
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰や背中の痛み
  • 関節の痛み
  • 冷え
  • しびれ
  • 疲れやすさ
  • 不眠

人によって症状はさまざま

更年期に感じる不調や症状の程度は、人によって異なります。女性ホルモンの分泌だけでなく、生活環境や性格なども関わっているためです。例えば、生活環境に強いストレスを感じている場合、更年期症状が現れやすくなります。また、几帳面な性格や完璧主義、こだわりが強い人などは、症状が重くなりやすいようです。そのほか、更年期症状に対する周囲の理解があるかどうかも、症状の程度に関わります。家族や職場の人などの理解があると、更年期を乗り越えやすくなるでしょう。

ほかの病気との見極めも重要

更年期には多様な症状が現れるため、ほかの病気との見極めも重要です。更年期症状か別の病気による症状かで、治療の方法が変わってくるからです。気分の落ち込みや情緒不安定などのこころの症状は、甲状腺の病気やうつ病などによっても引き起こされることがあります。専門医の先生に相談して、正しく見極めてもらうことが大切です。

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女性のからだに起こること

更年期症状は、年齢を重ねるにつれて卵巣の機能が低下することにより、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」の分泌量が減少するために起こるものです。今までエストロゲンによって調節されていたからだの機能はうまく働かなくなってしまいます。
また、脳からはもっとエストロゲンを分泌するよう卵巣に指令が送られますが、エストロゲンは分泌されないためにホルモンバランスが乱れてしまい、自律神経の調整もできなくなってしまいます。このように、女性ホルモンと自律神経の乱れにより、こころやからだに不調が現れやすくなるのが、更年期の女性の特徴です。

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ずっと元気でいるために

エストロゲンの分泌量が減少することで起こるのは、更年期症状だけではありません。エストロゲンは月経のコントロール以外にも、骨や皮膚、脳などからだのさまざまな部位の働きに関わっているのです。なかでも、エストロゲンの減少は骨密度の低下を引き起こし、骨粗しょう症のリスクが高まるため注意が必要です。

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女性のライフステージの変化

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おとなメンテナンスあいまいな症状だから

「そういう時期だから」と放っておくと、自分自身だけでなく、仕事や家庭にも影響が出てしまうかもしれません。

更年期症状が自分自身に与える影響

  • ほてりや発汗で恥ずかしい思いをする
  • 眠りの質が悪くなって体調を崩しやすくなる
  • イライラや落ち込みで毎日を楽しめなくなる

突然のほてりや発汗により、人前で恥ずかしい思いをする人は少なくありません。人によっては眠りの質が落ちることもあります。からだの症状に加えてこころの症状も現れると、ちょっとしたことでイライラしたり落ち込んだりして、毎日を楽しく過ごせなくなってしまうこともあります。

更年期症状について正しく理解しよう

最初に現れる症状がだるさや寝つきにくさなどのあいまいな症状だった場合、女性ホルモンによる影響と気づかないこともあるでしょう。思うように動けないストレスで、こころの症状が出てしまうこともあります。まずは更年期症状について正しく理解することが大切です。

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更年期症状が仕事や家庭に与える影響

  • 仕事に集中できなくなる
  • 家事が思うように進まなくなる
  • 外出がおっくうになる

突然汗が吹き出してきて仕事に集中できなかったり、頭痛やめまいで家事ができなくなったりすることがあります。また、イライラや気持ちの落ち込みで外出するのがおっくうになり、どんどん気分が暗くふさぎ込んでしまうこともあるかもしれません。

あいまいな症状でも早めにケアを

さまざまな治療・セルフケアによって、更年期症状を軽くすることができます。自分にあった治療やケアの方法を見つけて、更年期を楽に過ごせるように工夫をしてみてくださいね。治療については、医師や薬剤師などの専門家に相談してみましょう。

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Questionnaire −質問票−

あてはまると思う項目にチェックを入れてみましょう。

こころの症状

  • 怒りやすく、すぐイライラする
  • くよくよしたり、ゆううつになったりすることがある

からだの症状

  • 寝つきが悪い、または眠りが浅い
  • 顔がほてる
  • 汗をかきやすい
  • 顔や手足が冷えやすい
  • 息切れ、動悸がする
  • 頭痛、めまい、吐き気がよくある
  • 疲れやすい
  • 肩こり、腰痛、手足の痛みがある
※この質問票は重症度やリスクを判定するものではありません。
自分のからだとこころと向きあうための質問票としてご活用ください。

チェックの数が多い方

女性ホルモンの分泌量がゆらぎながら低下し始めているのかもしれません。ゆっくりと自分のこころとからだの声に耳をかたむけることを意識してみましょう。自分にとっても周囲の大切な人にとってもよい状態につながりますよ。

こんなにつらいのは、わたしだけ?

更年期症状は誰にでも起こりうることですが、なかでも程度が重く、日常生活に支障をきたしてしまう状態は「更年期障害」とよばれています。更年期障害はホルモンバランスの変化に加えて、生活環境やもともとの性格など、さまざまな要素が組みあわさって発症すると考えられています。更年期の女性のうち25〜30%が更年期障害を発症するといわれていて、決して珍しい病気ではありません。

周りの人とも話してみよう

更年期は男性にもあるものの、女性ホルモンと比較して男性ホルモンの変化はおだやかなため、男性にはなかなか理解してもらいにくいかもしれません。また、女性同士でも症状に個人差が大きく、他人につらさをわかってもらえないこともあります。お互いに症状が違うと理解することは、更年期をおだやかに過ごすうえでとても大切です。更年期症状について書かれた冊子を渡して読んでもらうことで、周りの人にも更年期症状を正しく理解してもらうことにつながるのではないでしょうか。

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自分にあったセルフケアを見つけよう

更年期症状と上手につきあうためのセルフケア方法を見つけておくと、対処しやすくなります。

おとなメンテナンス~自分でできること~

適度な運動を取り入れよう

日々の生活に少しでも運動する習慣を取り入れましょう。運動する習慣がない人は、エレベーターを使わずに階段を使う、意識して歩くようにするなど、ちょっとしたことから始めてみてください。

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バランスのよい食事を心がけよう

わたしたちのからだは、食べたものでつくられています。必要な栄養素を意識して食事をすることは、からだやこころの状態を整え、おだやかに過ごすことにつながるでしょう。

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規則正しい睡眠をとろう

毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きるよう心がけましょう。また、寝る直前までスマートフォンをさわったり、たくさんのお酒を飲んだりすることは控えてください。お気に入りの寝具やパジャマにするなど、寝るのが楽しみになるような工夫をするのもおすすめです。

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ゆらぎを受け入れるために

1.生活を整えてみたAさん

ぐっすり眠れなくなり、仕事中も頭がぼーっとしていることが増えたAさん。あいた時間に散歩をしてみたり、なるべく自炊をしたりしていたら、よく眠れるようになり、頭がすっきりするようになった。それでもすっきりしない日は、リモートワークにしたり、会議の予定を調整したりと、少しずつ自分のペースが掴めるようになった。

2.婦人科を受診してみたBさん

ささいなことが気になり、家族にやつあたりしてしまうようになったBさん。かかりつけの婦人科で話を聞いてもらったり、薬を処方してもらったりして、気持ちのコントロールができるようになった。家族と更年期症状について話すきっかけになり、こころのゆらぎが起こることを受け入れられるようになった。

家族や周囲のみなさんへ

更年期症状は周りの環境によっても症状の程度が変わります。からだやこころの変化で家事や仕事が思うようにできなくなってしまう女性もいます。みなさんに理解してもらえることで、症状を和らげられるでしょう。

家族や周囲のみなさんができること

  • からだやこころの変化がホルモンバランスによるものであることを理解する
  • からだやこころの変化で困っていることがないか話を聞く
  • できるだけおだやかに過ごせるようサポートする

更年期にあたる女性は、家庭や職場で、なくてはならない存在になることも多いでしょう。いつも完璧に見える女性の中には、こころをギリギリまで張り詰めてがんばっている人もいます。肩の力を抜いて、リラックスできるのは家族や親しい友人の前だけです。「なんだか疲れていそうだな」と思ったら、ゆっくり落ち着いて過ごせる時間をつくってあげてください。

必要に応じて専門家のサポートも受けよう

自分で対策をしたり、周囲にサポートしてもらったりしても更年期症状がつらいときは、がまんせずに専門家を頼ることも大切です。病院ではホルモン剤や漢方薬、向精神薬などを使った治療も行っています。つらい思いをしながら日常生活を送っている場合は、かかりつけの病院の婦人科、精神科、心療内科を受診してみてください。

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イライラしたり、悲しくなったり、ちょっとしたことで疲れたり……。毎日を忙しく過ごしていると、どうしても元気が出ない日はありますよね。でも、その原因が女性ホルモンのゆらぎにあると知ることができたら、こころが少し楽になるのではないでしょうか。からだやこころの変化についても、ゆっくりでよいので、新しい自分として受け入れてみてください。それでも元気になれないなと感じたら、家族や友人、医師などに相談してみると、こころが少し軽くなりますよ。

更年期はからだとこころが大きくゆらぐ時期です。ご自分のさまざまな変化にとまどうことも多いと思いますが、睡眠、食事、運動などのセルフケアを通して、新しい自分を少しずつ受け入れてみることが大切です。頑張ることを手放して、一息ついてみる。また新たな自分を見つけられるかもしれません。つらい症状が続く場合には、専門家に相談しましょう。この冊子が、更年期症状に悩む女性や周りの方々にとってお役に立てることを願っています。

東北大学病院

菊地 紗耶

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