お薬と病気のなるほどライブラリ
病気についてのおはなし
動脈硬化について
動脈硬化とは?
動脈硬化とは?
本来しなやかである動脈が、加齢や生活習慣の乱れなどにより弾力性を失い硬くなった状態をいいます。硬く傷つきやすくなった動脈にコレステロールなどがたまり、血管が狭くなったり、詰まりやすくなることでさまざまな障害をもたらします。
動脈は、血液を運んだり心臓に押し戻すなどポンプのような作業を行っています。
血管壁の傷んだところにコレステロールなどがたまり、プラーク*1を形成します。また傷んだ部分を修復するために血小板*2が付着して、血管壁が厚くなります。
プラーク*1が破れて、そこに血小板*2が集まり、血栓が形成されます。
血栓により血管が詰まり、血流がとどこおります。
アテローム動脈硬化(粥状動脈硬化)
動脈の内膜にコレステロールなどが沈着して、どろどろの粥状物質(アテローム)のプラーク*1となり、次第に内膜が厚くなることで血管が狭くなる。
比較的太い動脈(大動脈、冠動脈、脳底動脈、腸間膜動脈)
細動脈硬化
加齢や高血圧症が長く続いて引き起こされることが多い。
脳や腎臓内の細い動脈
中膜硬化(メンケルベルグ型動脈硬化)
動脈の中膜に血中カルシウムがたまって硬くなる。
頸部、手足の動脈
*1 プラーク:動脈の血管壁に沈着したコレステロールの固まり。粥腫(じゅくしゅ)ともいう
*2 血小板:血液の止血や凝固作用を持つ成分
*2 血小板:血液の止血や凝固作用を持つ成分
動脈硬化は、なぜ恐い?
動脈硬化が進行すると…脳卒中編(1)
動脈硬化が進行すると…脳卒中編(2)
脳卒中は、できるだけ早く適切な対処を開始することが治療の鍵となります。発症後の時間経過とともに脳への障害が広がり、命の危険性
や後遺症の重症度も高くなります。普段の様子と明らかに違う症状がある場合は、早急に医療機関を受診(搬送)することが大切です。
また、脳卒中は発作を起こし突然倒れる症状をイメージしがちですが、TIA(一過性脳虚血発作)のようにしばらくすると症状が改善 することもあるので注意が必要です。
また、脳卒中は発作を起こし突然倒れる症状をイメージしがちですが、TIA(一過性脳虚血発作)のようにしばらくすると症状が改善 することもあるので注意が必要です。
症状は人によって異なります。こうした症状のうち、1 つだけ出現する場合やいくつかの症状が重複する場合もあります。脳卒中の前触れ症状を見逃さないようにしましょう。
くも膜下出血を疑うサイン
経験したことのない激しい頭痛が突然おそう(何時、何分、何秒に起きたと自覚できる)
脳卒中治療では「脳の機能障害を最小限にすること」と「全身への影響を最小限にすること」がポイントとなります。
脳卒中の後遺症は、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。治療と併せて、入院早期からリハビリを始めることもあります。
脳卒中の後遺症は、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。治療と併せて、入院早期からリハビリを始めることもあります。
脳梗塞 | 脳梗塞のタイプと経過時間からお薬を選択します。
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脳出血・くも膜下出血 | 出血により頭蓋骨内部の圧力が上がっているので、それを下げるお薬などが用いられます。 重症度に応じて出血によりできた血の固まりを取り除いたり吸引する手術が行われます。 |
動脈硬化が進行すると…虚血性心疾患編(1)
動脈硬化が進行すると…虚血性心疾患編(2)
横にスクロールします。
狭心症 | 心筋梗塞 | |
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痛みを感じる部位 | ||
症状 |
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持続時間 |
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硝酸薬*の効果 | 多くの場合効果を示す | 効果がない |
●狭心症の場合
まずは安静が基本となります。しばらくすると発作は治まりますが、狭心症は心筋梗塞に移行する可能性が高いので早い段階で治療を始めることが大切です。
また、発作を抑えたり、予防するお薬としてよく硝酸薬*が用いられます。
また、発作を抑えたり、予防するお薬としてよく硝酸薬*が用いられます。
●心筋梗塞の場合
心筋梗塞は命にかかわる病気です。急に倒れたり、激しい胸の痛みが長時間続くなどの症状がみられたときは我慢せずに急いで救急車を呼びましょう。
なお、みぞおちの痛み(腹痛)が自覚症状ということもあります。また、無症候性(無痛性)心筋梗塞といって狭心症の症状がなく、突然心筋梗塞で倒れる場合もあるので、定期的に検査を受けておくことが大切です。
なお、みぞおちの痛み(腹痛)が自覚症状ということもあります。また、無症候性(無痛性)心筋梗塞といって狭心症の症状がなく、突然心筋梗塞で倒れる場合もあるので、定期的に検査を受けておくことが大切です。
狭くなったり、詰まった冠動脈に十分な血液が流れるようにすることが第一の治療目的となります。
薬物療法 |
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血管内治療 |
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外科的治療 |
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*硝酸薬:血管を広げる作用のある薬
動脈硬化が進行すると…末梢動脈疾患編
末梢動脈疾患(PAD*1)とは?
主に手足の血管が動脈硬化によって狭くなったり、詰まったりして血液の流れが悪くなることでさまざまな病気を引き起こします。
PAD は、閉塞性動脈硬化症(ASO*2)や閉塞性血栓血管炎(TAO*3、バージャー病)を含みますが、近年では国際的なガイドラインに準じ、PADに統一されつつあります。
PAD は、閉塞性動脈硬化症(ASO*2)や閉塞性血栓血管炎(TAO*3、バージャー病)を含みますが、近年では国際的なガイドラインに準じ、PADに統一されつつあります。
*1 PAD:peripheral arterial disease、*2 ASO:arteriosclerosis obliterans、*3 TAO:thromboangitis obliterans
間歇性跛行
ある一定距離を歩くと足に痛みやしびれを感じ、休むと改善して再び歩けるようになります。整形外科疾患による歩行障害でも、同じような症状が現れることがあります。心当たりのある方は医師に相談してみましょう。
症状の進行度が軽症~中等症の場合、治療の基本は「お薬」と「運動」です。改善がみられない場合や重症の患者さんには、必要に応じて血管内治療やバイパス手術が行われます。
運動療法 | 歩くことで足の血流が改善される効果があります。 |
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薬物療法 |
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血管内治療 |
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外科的治療 |
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PADは重症化すると最悪の場合、足を切断しなくてはいけないこともあります。足の切断による死亡率は非常に高く、生命の危機をも招きます。
それらを防ぐためには、動脈硬化の危険因子(喫煙・生活習慣病など)を排除し、早期から適切な治療を行うことが重要です。
それらを防ぐためには、動脈硬化の危険因子(喫煙・生活習慣病など)を排除し、早期から適切な治療を行うことが重要です。
生活習慣を改善し、動脈硬化を防ぎましょう
動脈硬化性疾患を起こさないためには、動脈硬化を促進する喫煙や運動不足、食生活の乱れなどの危険因子を除去することが最も重要です。
生活習慣を見直し、動脈硬化の予防に努めましょう。
生活習慣を見直し、動脈硬化の予防に努めましょう。
適度な運動を習慣にしましょう
肥満を解消・防止するためには、日頃から体を動かす習慣を身につけておくことが大切です。
積極的に運動を行うことで、善玉コレステロール(動脈硬化を防止)が増えることが分かっています。また運動による適度な疲労は、ストレス発散や良質な睡眠を促します。
積極的に運動を行うことで、善玉コレステロール(動脈硬化を防止)が増えることが分かっています。また運動による適度な疲労は、ストレス発散や良質な睡眠を促します。
何らかの治療を受けている人は主治医と相談してから始めましょう。
食べ過ぎに注意し、栄養バランスのとれた食事をしましょう
バランスのとれた食事を心掛け、1日3食規則正しく食べましょう。またよく噛んでゆっくり食べることで食べ過ぎを防ぐことができます。
アルコールの過剰摂取は動脈硬化を進行させるため、飲み過ぎには注意しましょう。
アルコールの過剰摂取は動脈硬化を進行させるため、飲み過ぎには注意しましょう。
禁煙しましょう
喫煙は動脈硬化の進行だけでなく、多くのがんの危険因子ともなります。例えば、たばこが吸いたくなる場所を避けたり、吸いたくなったら、別の行動でリフレッシュするなど、自分に合った禁煙方法を実行してみましょう。
お薬でのコントロールは主治医に従い適切に
すでに脂質異常症や高血圧症などの生活習慣病になっている場合には薬によるコントロールが必要です。自覚症状がないからといって勝手に薬の使用を中止するなどせず、主治医と相談し適切に治療しましょう。
また、動脈硬化は早期発見が大切です。年に一度は必ず検査を受けるようにしましょう。
また、動脈硬化は早期発見が大切です。年に一度は必ず検査を受けるようにしましょう。
【監修】医薬情報研究所/株式会社エス・アイ・シー
公園前薬局(東京都)薬剤師 堀 美智子 先生
公園前薬局(東京都)薬剤師 堀 美智子 先生