薬薬連携はどこまで進んでいるか
NIPRO

2016年9月掲載

vol.04

福島県 会津地区

キーワード
薬薬連携協議会  お薬手帳  研修会  東日本大震災
対談者
塩川 秀樹 先生

福島県病院薬剤師会 会長
竹田綜合病院 薬剤科長
塩川秀樹 先生

下山田 博久 先生

会津薬剤師会 会長
下山田博久 先生

会津地区での薬薬連携の始まりと経緯をお教えください。

塩川:
会津地区の薬薬連携は、薬薬連携協議会が軸になっていますが、立ち上げのきっかけになったのは、東日本大震災です。震災時、直接的な被害や原発の影響がほとんどなかった当地区では、被災者の後方支援にあたりました。開局の薬剤師は避難所を巡り、病院薬剤師は、医師などと医療チームを組んで無医村の地域へ行きました。その中で医療情報が非常に不足していると痛感したのです。例えば、或るがん患者さんのプロトコールがわからず、休薬すべきところが連続投与になってしまい、副作用が発現したと言う苦い経験をしました。不便な避難生活の中とはいえ、医療に関してそうした事が容認されるとは思えません。そこで会津薬剤師会の先生方とお話をし、地域ぐるみで薬薬連携の推進をスタートさせることになったのです。とはいえ、当時、病院薬剤師は、退院された患者さんについて知るすべもなく、薬局でどのような説明をされているか、薬局が治療の事をどの位把握しているのか分かりませんでした。またほとんどの開局の薬剤師も病院薬剤師と会う機会もなく、知らないというのが現状で、そこから改善する必要があると考えました。
塩川秀樹 先生

塩川秀樹 先生

下山田:
震災の起きた2011(平成23)年、竹田綜合病院の薬剤科から薬薬連携に関するアンケートの依頼がありました。その際、薬薬連携推進のコアメンバーの方々が、薬局を1軒1軒訪問されて、アンケートを回収されたのです。それを見て、私は先生方の熱意に強く感銘を受けました。震災時の薬剤師の活躍も目の当たりにしていましたし、病院薬剤師の熱い気持ちも伝わってきて、薬剤師会としても地域ぐるみの薬薬連携の推進を何とか成功させたい、と思うようになりました。
下山田博久 先生

下山田博久 先生

塩川:
アンケート調査は、112軒の薬局に対して、FAXによる送付、訪問による回収を行い、回答率は100%でした。目的は、薬薬連携の必要性を確認すること、薬薬連携の推進にあたって、開局の先生方がどのような情報を欲しいと思っているかを調査することでした。結果、入院中の服薬指導内容や副作用の状況、検査値などの情報を希望されていることがわかりました。特に検査値、それから現病を知りたいという要望が多かったですね。そうして、震災の1年後、2012(平成24)年4月に薬薬連携協議会を立ち上げ、病院薬剤師会会津支部と会津薬剤師会、そして会津保健福祉事務所の方に同席いただきました。