薬薬連携はどこまで進んでいるか
NIPRO

2016年9月掲載

vol.04

福島県 会津地区

キーワード
薬薬連携協議会  お薬手帳  研修会  東日本大震災
対談者
塩川 秀樹 先生

福島県病院薬剤師会 会長
竹田綜合病院 薬剤科長
塩川秀樹 先生

下山田 博久 先生

会津薬剤師会 会長
下山田博久 先生

薬薬連携協議会の活動として、最初に着手された「會津お薬手帳」の作成とその特色についてお教えください。

塩川:
「會津お薬手帳」は協議会の30歳前後の若い薬剤師たちが中心になって、作成に取り組みました。会津若松市、喜多方市、南会津までを含む広い会津医療圏で、情報共有できるツールとして位置付け、アンケート結果から得られた薬薬連携に必要な情報を盛り込みながら、試行錯誤を重ねて作成していきました。
特色は、①新たに現病や検査値を記入する欄を作ったこと ②調剤方法をチェックする欄を設けたこと ③医療従事者からの「あなたへのメッセージ」だけでなく、患者さんからの「あなたからのメッセージ」を書く欄を作ったこと ④アセスメントを連続的に時系列でみられるように配置したことなどです。また赤べこをメインにした会津らしいカラーのデザイン、さらに会津藩士の心得で有名な「什の掟」をもじって服薬の注意事項を記載するなど親しみやすさを感じていただけるような工夫も凝らしました。もちろん現病などに関しては、患者さんの同意を得た上で、記載することになっています。
會津お薬手帳 中面

會津お薬手帳 中面

會津お薬手帳 表紙

會津お薬手帳 表紙

下山田:
現病の情報は、患者さんにとってナーバスな個人情報である場合が多いですよね。ですから紛失したらどうするのか、というような議論もありました。しかし、薬局としては、「現病を知りたい」と言う希望が強く、記入欄が設けられました。実際は、病院の方で記入していただくことになるのですが、同意しない患者さんは少ないようです。
塩川:
患者さんには、退院時の指導のときに「外来での服薬指導に役立つ」というメリットと「紛失などによって情報が漏えいするリスクもある」というデメリットの説明をしています。「會津お薬手帳」の活用は、がんの患者さんからスタートしたので、患者さん自身が副作用のリスクや服薬管理に対する意識が高く、ほとんどの方が同意されました。これが、慢性疾患へと広がっていくと、どこまで同意されるか、わからないところだと思います。

「會津お薬手帳」の普及状況はいかがですか?

塩川:
「會津お薬手帳」は全薬局に配布し、PRパンフレットも作成しました。A2版のポスターは、会津医師会や保健所、役所など公共施設にも掲示していただくようお願いしました。開業医の先生方にもできる限り、「會津お薬手帳」やパンフレットを配布しています。ただ、今のところ、普及の状況は把握できておらず、十分とはいえないと思っています。
會津お薬手帳を使用される皆様へ

會津お薬手帳を使用される皆様へ