薬薬連携はどこまで進んでいるか
NIPRO

2015年8月掲載

vol.03

北海道 札幌市

キーワード
検査値  疑義照会  多段階方式  病診薬連携
対談者
井関 健 先生

北海道大学病院
薬剤部長
井関 健 先生

坂田祐樹 先生

あさみ薬局
主任薬剤師
坂田祐樹 先生

北海道大学病院と近隣薬局との薬薬連携の取り組みについてお聞きします。

井関:
当院では、2013年9月より、処方箋に検査データを付加しており、その約2年前から近隣薬局の先生方とどのような検査データが必要かについて、話し合いをすすめてきました。結果として、患者さんの病態、病状の変化に関係する13の検査項目を選ばせていただいたのですが、スタートしてから2~3ヵ月後、薬局の方から、「検査データが見られることは有難いのだが、どのように活用すべきか戸惑うこともある」というご意見をいただきました。そこで、2014年1月より、情報交換を兼ねた勉強会を年に4回、開くことになりました。対象は、あさみ薬局さんを含む10の近隣薬局で、主な内容は、教科書的なレクチャーではなく、大学病院で実際に行っている服薬指導の中から、検査データを活用した事例について、成功事例はもちろん、失敗談も含めお話するというものです。それを参考にしていただき、各薬局のカラーに合わせて、検査データを服薬指導に役立てていただければ、と考えています。
佐藤益男 先生

井関 健 先生

坂田:
大学病院の勉強会には、毎回参加させていただいております。私は、病院勤務の経験がありますので、準備段階の話し合いでも、どのような検査項目が必要かについて、意見を述べさせていただきました。実際、検査値が見られることは、患者さんとお話をする上で、大変役立ちます。例えば高齢者で腎機能が低下している場合、添付文書上では減量の記載がある薬剤で、疑義照会をしてもリスクとベネフィットの観点から「その用量で」という医師の指示を頂くことがあります。その際も、過量投与に伴う副作用の初期症状を説明し、患者さんにチェックしていただくといったことが行いやすくなりました。また以前は、必要に応じて患者さんにお願いし、検査データをいただいておりましたが、その手間が無くなり、業務効率の上でもメリットは大きいと思っています。
瀬戸裕一 先生

坂田祐樹 先生

井関:
坂田先生のような病院勤務の経験のある方がいて、ラッキーだったと思いますね。薬局勤務の方の中には、検査データを初めてみる、というケースも少なくありません。今は、追加すべき検査項目について、アンケート調査をしており、脂質データなどが候補に挙がってきています。さらに抗がん剤のレジメンについてもホームページ上で、薬局薬剤師の先生方に見ていただけるよう、準備しているところです。こちらも同時に勉強会を開催する予定です。
坂田:
レジメンは本当に必要な情報ですね。外来化学療法中の患者さんは、家族の方が薬局に来られるケースも多く、患者さんに直に話を伺えないこともあるため、レジメンがわかると支持療法の指導や処方箋に記載されていない薬剤による副作用のアセスメントなどに活用でき、とても助かります。