薬薬連携はどこまで進んでいるか
NIPRO

2019年3月掲載

vol.06

岐阜県 岐阜市

キーワード
検査値情報の活用  疑義照会の簡略化  薬薬連携研修会  薬薬連携代表者会議

<前段右から>

安田公夫 先生 (岐阜赤十字病院
医療社会事業部・薬剤部顧問、岐阜市薬剤師会常務理事)

大橋哲也 先生 (岐阜市薬剤師会会長)

<後段右から>

木村繁和 先生 (岐阜赤十字病院 医療安全係長)

林 貴子 先生 (岐阜赤十字病院 薬剤副部長)

栗本秀文 先生 (岐阜北地区 薬剤師会代表・岐阜市薬剤師会副会長)

蓮田明文 先生 (ピノキオ薬局忠節店 岐阜市薬剤師会在宅委員)

増田千穂 先生 (たんぽぽ薬局早田店 薬局長 管理薬剤師)

平松秀昭 先生 (あかつき薬局 薬局長 管理薬剤師)

今回は、岐阜赤十字病院にて開催された第17回薬薬連携代表者会議の出席者(岐阜市薬剤師会会長 大橋哲也先生は特別参加)に取材しました。これまでの対談形式ではなく、複数の先生方のお話の中から同地域の薬薬連携推進について紹介します。

岐阜赤十字病院の薬薬連携推進の経緯

岐阜赤十字病院における薬薬連携の変遷は表1の通りです。その推進がどのように行われたか、病院薬剤師の先生方にお話いただきました。

<表1>


  • 2016年1月 電子カルテ運用開始とともに検査値を処方箋に記載
  • 2017年2月 岐阜赤十字病院薬剤部による代表的3薬剤の具体的な検査値情報活用法の提案
  • 2017年9月 薬薬連携代表者会議スタート
  • 2018年2月 疑義照会における事前合意運用開始
安田:
私は2016年の春から当院薬剤部顧問となり、ほどなく門前のたんぽぽ薬局早田店を挨拶がてら訪問しました。当院では、2016年1月に電子カルテが導入されると同時に院外処方箋に検査値を記載していたのですが、薬局の先生方と情報交換する中で検査値が活用されていないことが分かりました。そこで検査値を活用してもらうために、薬剤を絞って検査値の活用法を訴求することを提案しました。さらに推進のため、病院と門前薬局が顔を合わせて話ができる場を設けたいと考えました。それが毎月1回、当院において開催されている薬薬連携代表者会議の始まりです。この会議は、岐阜県薬剤師会へのPIR報告の実績を積んでいくためにも重要な取り組みだと思っています。

*岐阜県薬は2014年12月より「Pharmaceutical Intervention Record」(PIR)事業を開始。薬剤師の介入によって処方変更や副作用回避などが図られた事例の収集を行っている。

安田公夫 先生

安田公夫 先生

木村:
薬剤部では2016年の春に検査値活用についてアンケート調査を行いましたが、当院処方箋においては活用実績がありませんでした。そうした状況下で安田先生のお話を受け、薬剤を絞ってそれらと連動する検査値の活用を案内することにしました。検討の結果、3薬剤、すなわちレボフロキサシン錠、ファモチジン錠、当院の得意分野でもある甲状腺疾患に使用する抗甲状腺薬に絞りました。そして2017年2月、当院で年2回開催している岐阜北地区地域薬薬連携研修会の場を使って、3薬剤と検査値活用のポイントを案内するとともにPIR報告を推進したい旨をお伝えしました。 薬薬連携代表者会議のスタートに際しては、安田先生とともに隣接のたんぽぽ薬局、あかつき薬局を訪ねてお声掛けしたのですが、薬局の先生方も待っておられたように感じたことが印象に残っています。2017年9月に始まった同会議では早速、疑義照会の簡略化に向けて、事前合意事項の検討を行うことになりました。
木村繁和 先生

木村繁和 先生

林:
疑義照会における事前合意については、薬薬連携代表者会議で検討した後、院内のコンセンサスを得るため、月1回開催される医局会に何度も足を運び、全ての医師に了承していただくことに努めました。疑義照会による診察の中断を減らす議案ですので、主旨に問題はありませんでしたが、内容は約3ヵ月にわたり吟味されました。最終的に5項目が承認され、2018年2月より運用を開始しました。当院の疑義照会は、岐阜市薬剤師会の職員2名が常駐するFAXカウンターが窓口です。ここでは薬局への処方箋送付を行う一方で、疑義照会を受け付け、外来中の医師にタイミングを見計らって確認し、その結果を薬局に返しています。疑義照会は1週間ごとに薬剤部へ届けられ、薬剤師が薬歴修正を行いますので、電子カルテへの記入漏れの心配もありません。恵まれたシステムだと思っています。
林貴子 先生

林 貴子 先生

第17回目の岐阜赤十字病院の薬薬連携代表者会議

第17回目の岐阜赤十字病院の薬薬連携代表者会議では、「毎月の疑義照会全件提示+PIR」「岐阜北地区の地域薬薬連携研修会」「疑義照会省略の事前合意事項」が議題に挙がり、報告と意見交換がなされた。