薬薬連携はどこまで進んでいるか
NIPRO

2019年3月掲載

vol.06

岐阜県 岐阜市

キーワード
検査値情報の活用  疑義照会の簡略化  薬薬連携研修会  薬薬連携代表者会議

<前段右から>

安田公夫 先生 (岐阜赤十字病院
医療社会事業部・薬剤部顧問、岐阜市薬剤師会常務理事)

大橋哲也 先生 (岐阜市薬剤師会会長)

<後段右から>

木村繁和 先生 (岐阜赤十字病院 医療安全係長)

林 貴子 先生 (岐阜赤十字病院 薬剤副部長)

栗本秀文 先生 (岐阜北地区 薬剤師会代表・岐阜市薬剤師会副会長)

蓮田明文 先生 (ピノキオ薬局忠節店 岐阜市薬剤師会在宅委員)

増田千穂 先生 (たんぽぽ薬局早田店 薬局長 管理薬剤師)

平松秀昭 先生 (あかつき薬局 薬局長 管理薬剤師)

地域における薬薬連携推進の展望

今後の展望について、話し合っていただきました。

●個々の取り組みを地域へ
安田:
私は、岐阜市薬剤師会の会長 大橋先生に提案し、2018年6月に薬薬連携委員会を立ち上げていただき、委員長を務めています。その立場からも我々の取り組みを他の病院にも広めたいと考えています。
木村:
当地域には、岐阜赤十字病院と岐阜市薬剤師会が共催する岐阜北地区地域薬薬連携研修会(年2回開催)と、岐阜医療圏の病院薬剤師と薬局薬剤師を対象とした岐阜地区薬薬連携合同研修会(年6回開催)があります。後者は、参加者100名前後の大規模な研修会で、2018年11月開催時に、岐阜赤十字病院と岐阜市薬剤師会との疑義照会事前合意の取り組みについて紹介させていただけたことはとても有意義だったと思います。
大橋:
岐阜地区薬薬連携合同研修会における岐阜赤十字病院の取り組みの紹介は、良い刺激になり、他の病院でも同様の取り組みを推進しようという動きに繋がっています。また、近年、研修会の内容も薬局薬剤師が事例を紹介するようになり、進化してきました。一方、安田先生が委員長をされている薬薬連携委員会には、各病院の薬剤部長クラスの先生方が参加されています。その中で薬薬連携推進への取り組みが足並みを揃えて一斉にできなくても、出来る範囲で始めて広げていこうという機運が高まってきました。岐阜医療圏における薬薬連携推進もこの1-2年で大きく変化しています。
大橋哲也 先生

大橋哲也 先生

●地域包括ケアシステムの中での役割
安田:
薬薬連携委員会の委員長として、取り組みたい課題は尽きません。その中の一つに地域包括ケアシステムの充実に向けて、在宅医療への薬剤師の参画推進があります。当院では、退院時共同指導の推進が今後の課題ですが、岐阜市内には退院時共同指導を積極的行い、約7割に薬局薬剤師が参加している病院もあり、私たちもそれに倣いたいと思っています。一方で、在宅医療に参画する薬局を増やしていくことも必要です。またポリファーマシーの問題もあり、様々な課題解決に力を合わせて具体的に取り組んで行く必要があります。ついてはこの薬薬連携代表者会議には門前薬局だけでなく、市薬副会長で岐阜北地区代表の栗本秀文先生や在宅医療に取り組んでおられるピノキオ薬局忠節店の蓮田明文先生に参加していただくようになりました。
蓮田:
当薬局における在宅医療の取り組みについて、岐阜北区薬薬連携研修会でお話をさせていただいたのを機に、薬薬連携代表者会議にも呼んでいただきました。微力ながら在宅医療の推進の一助になれればと思っています。
蓮田明文 先生

蓮田明文 先生

大橋:
在宅医療に関しては岐阜市薬剤師会に在宅委員会を設置しています。そこで退院時共同指導への参加促進を図るために地区ごとに在宅の中心になる薬局を決め、かかりつけ薬剤師が参加できない場合のフォロー体制を構築し、研修も行っています。これは県の事業としても取り組む予定になっています。当薬剤師会の役割は、医師会や行政への対応を含め、薬薬連携推進の取り組みをサポートし、活動しやすい環境をつくっていくことだと思います。また、より魅力ある研修会やシステムを提供し、会員数を増やしていきたいですね。
栗本:
岐阜市薬剤師会の会員は、薬局の店舗数で数えると9割以上が入会されていますが、個々の薬剤師では50%くらいだと思います。特に6年制卒の若い薬剤師は、学費の借入等を背景に経済的な負担が問題になりがちですので、入会金の見直しを検討している最中です。
栗本秀文 先生

栗本秀文 先生

安田:
より良い医療の実現のためには、あらゆる場面で医師や医療関係者との連携が必要です。そのためにも先ずは薬剤師同士が互いの業務や課題について理解を深め、協力し合うことがとても大切です。私たちはこの岐阜北地区の会議を通してそれを実感していますので、こうした顔を合わせての会議を岐阜市や岐阜県に広めて行きたいと思いますし、全国で是非やって貰いたいと願っています。
先生方