ホスピスケア連絡会が、薬薬連携のあるべき姿のミニモデルになるわけですね。近い将来の薬薬連携の展望について、どのようにお考えですか。 佐藤: ツールを活用して、病院と薬局が双方向で情報をやりとりできるようにするとともに、病院同士のつながりも作っていかなければなりません。本当に患者さんの信頼を得るためには、仙南地区の薬剤師、すべての意識を高い水準に揃える必要があります。そのためのアクションは、我々病院薬剤師から起こしていくべきだと思っています。 瀬戸: 退院時共同指導については、みやぎ県南中核病院以外でも広めようと努力はしているのですが、その病院の薬剤師と知り合いになっていない場合は、なかなか難しいですね。 佐藤: 確かに全体として、病院薬剤師と保険薬局の薬剤師のコミュニケーションが不足しているようです。当院では、私が、理事として薬剤師会に入ったのをきっかけに、継続して、薬剤部長は薬剤師会に入れてもらうよう、院長にお願いし、受理されました。 瀬戸: それは、他の病院にもぜひ広めていただきたいですね。知り合いになることが、薬薬連携にとっては重要なポイントだと思います。その意味で、私は、病院と薬局の両方で研修を受ける今の薬学生に期待しています。それぞれの現場で、薬剤師の職能を目の辺りにし、先生方とも知り合いになれますので、自然に薬薬連携へとつながっていくのではないでしょうか。
最後に、それぞれのお立場で、抱負とメッセージをお願いいたします。 佐藤: さきほど、薬学生の話が出ましたが、6年制教育を受けていない薬剤師は、自分の勤める現場以外の薬剤師の仕事を知らない人が多いのが現状です。そこで、宮城県病院薬剤師会では、今年度より、薬局薬剤師の先生方に病院薬剤師の仕事を知っていただく機会を作ろうと計画しています。病院での研修という形になると思いますが、薬局の先生方が知りたい内容をカリキュラムに盛り込んでいくために、ワーキンググループを立ち上げました。ちょっと、話は別ですが、昨年度は、瀬戸先生のご子息から病院で研修したいという依頼があり、ちょうどその時、人手不足だったので、1年間、当院に勤務していただきました。このように、病院のことを知りたがっておられる保険薬局の先生も多い中、お互いの職場を知ることが、薬薬連携のとっかかりになるのでは、と思っています。 佐藤先生と瀬戸先生 瀬戸: 逆に、佐藤先生のところの薬剤師の方々が、在宅訪問サービスに同行されたこともありますね。 佐藤: 当院の薬剤師から、在宅で薬剤師が何をしているか、視察したいという要望がありましたので、同行させていただきました。現場を知ることのメリットは、「どんな情報が必要か」が把握でき、病院から薬局へ伝える情報が充実することだと思います。さらに重要なことは、意識が変わってくることではないかと期待しています。 瀬戸: 佐藤先生のおっしゃるように、薬薬連携においても、また今、大きく変わろうとしている薬剤師の職能に適応するためにも、意識を変えることがとても大切だと思います。薬局では、今年度からHbA1cの自己採血検査が解禁になりましたが、健康情報拠点という位置づけで、取り組まなければならないことが山ほどあります。連携もその一つですが、常にアンテナを張って、一つひとつ課題をクリアし、本来の薬局の姿とはどういうものか、考えていく必要があります。また、宮城県薬剤師会の副会長の立場としましては、我々の機能をより地域の人に理解してもらう努力をしていきたいと考えています。