Doctor’s Comment
呼吸器内科・感染症内科部長の石田 正之先生に、感染症における多職種連携、および薬剤師の役割と評価についてお話いただきました。
呼吸器内科・感染症内科部長 石田 正之先生に訊く
感染症に対する薬剤師の役割と評価
感染症診療の体制と薬剤師の役割
感染症診療では、私と薬剤師、細菌検査技師が連携し、薬剤師は抗菌薬の処方が出たときから、検査技師は検体が出たときから、それぞれの視点でチェックし、私が関与すべき症例について情報提供をしてくれます。私も各部署に出向き、できる限り顔を合わせる機会をつくっていますので、互いの風通しも良く、意思疎通ができていると思います。
薬剤師の役割は、個々の症例における抗菌薬の適正使用の確認とそのための介入です。種類、投与量、投与回数など細かなチェックをし、疑問があれば、主治医や私に相談し、積極的に介入しています。私は、感染症内科の医師として横断的に抗菌薬が処方された症例に携わる立場にありますが、全てを把握できるわけではありませんので、問題がある症例を的確にピックアップしてくれる薬剤師の存在に助けられています。他の医療機関で勤務した経験を振り返っても、なかなかそこまで関われる薬剤師は少なかったと思います。
薬剤師のレベルアップによるメリットは大きい
私が、中野先生への研修、さらに石田塾と称する薬剤師向けの研修を引き受けたのは、依頼に応じたこともありますが、自分自身のためでもあると考えています。同じ目線で話ができるコメディカルの存在は、私自身の業務軽減につながり、また自分が診きれない部分を補ってもらうことができます。そのことは医療の質を向上し、患者様のメリットにつながります。ですから、病棟に上がる全ての薬剤師のレベルアップは、薬剤部はもちろん、私の願いでもあります。近森病院のコメディカルの方々は総じて、新しいことを学び、新しい業務に挑戦することに積極的ですので、こちらも教えがいがありますね。
こうした薬剤師の方々の活動については、対外的にもっと知らしめていったらよいのではないかと思います。診療面では、フィジカルアセスメントにも積極的に取り組んでもらえたら有難いですね。また、臨床現場から得たものの中から課題を見つけ研究する、つまり臨床研究にもチャレンジしてはいかがでしょうか。そうすることでより臨床における“視る目”が養われると思います。