医療とネットワーク
NIPRO

Vol.2

薬局薬剤師の視点からみた
長崎における医療ネットワーク
宮﨑 長一郎 先生
(宮﨑薬局 代表取締役/P-ネット代表世話人)
佐田 悦子 先生
(アクア薬局矢上店 薬剤師/P-ネット副代表世話人)
中村 美喜子 先生
(長崎県薬剤師会 副会長/ペンギン薬局/P-ネット事務局)
南野 潔 先生
(株式会社カインドヘルスサポート 代表取締役/西時津調剤薬局/P-ネット副代表世話人)
医療ネットワーク先進県として有名な長崎では、
システムをフル活用する保険薬局の薬剤師が増えています。
その軌跡と実際について、長崎薬剤師在宅医療研究会(通称P-ネット)のコアメンバーである宮﨑長一郎先生、佐田悦子先生、南野潔先生、中村美喜子先生に取材しました。
医療におけるICTネットワーク推進のために
~鍵はフラットなヒューマンネットワークにあり~
長崎では、診診連携、病診連携、薬薬連携、そして多職種連携へとネットワークが拡大している。その中で発足当初、病診連携を想定していたあじさいネットが進化し、強力なツールとなっている。まさしく医療におけるICT活用の成功事例と言えるのだが、そこへ導いたものは何だったのだろうか。
長崎で医療ネットワークの構築が成功した根本的な理由は何でしょうか。
またICTネットワークの構築、活用を考えるとき大切なことは何でしょうか。
宮﨑:長崎における医療ネットワークの背景にあるのは、フラットな関係性です。長崎在宅DrネットもP-ネットも個々の集まりですし、多職種が協力しあうときは、職種間のヒエラルキーを超えて互いに尊重し合う努力をしています。またどのネットワークも、最初から囲い込みの意図を持ちませんでした。だから進化し続けることができるのだと思います。
あじさいネットの活用が広まって以来、私たちはICTネットワークが有力なツールであることを実感しています。しかしそれ以上にface to faceの重要性を感じています。患者さんを救うのはリアルな場面での医療者たちの連携に他なりません。ICTの役割はあくまで補完ですから、‘リアルとICTネットワークをいかに上手くつなげて活用するか’をしっかり検討することが大切です。最終的に力を発揮するのはヒューマンネットワークなのです。