漢方薬膳講座の“口コミ”から芽吹いて
「相談対応力」が地域に咲かせる健康の花

「フローラ薬局」茨城県水戸市/篠原久仁子氏

子どもたちへ伝える「くすりのリスク」

 篠原さんは、違法ドラッグなどの薬物乱用問題についても地域における防止啓発の“最前線”に立っています。「違法ドラッグを使うと捕まるといった啓発とは異なり、薬剤師としての知識を伝えることはそもそも薬物に手を出さないという考え方を育み、根本的な予防につながる」との考えからです。

 防止啓発に向けた教育は子どもの頃から行うことが大切です。篠原さんは小・中学校からの依頼を受け、毎年2,000人以上の子どもたちに講演しています。薬物乱用のゲートウェイドラッグになりやすい(電子)たばこを例に、薬は使い方を間違えると違法になることを説明するなど講演内容は多岐にわたります。

 また啓発教育においてもハーブ園が活躍します。危険ドラッグはハーブを謳って勧められることもあるため体験学習を実施。子どもたちに実際ハーブに触れてもらい、「ハーブは薬のルーツにもなっていますが、危険ドラッグはハーブが原料ではありません」といったわかりやすい表現で子供たちにリスクを伝えます。

薬物乱用防止講演を中学校で行う

「女性」薬剤師だからできること

 女性だからこそできる薬剤師の役割について、篠原さんが見つめ直すきっかけがありました。『女性の出産・更年期』をテーマに取り上げた第3回目の漢方薬膳講座です。講師は、篠原さん自身の出産に携わった産科医師に依頼しました。

【講座内容の紹介】

●更年期は女性なら誰しも訪れる

  • ・人生の転機でもあり不安やストレスに苛まれやすい
  • 一人で抱えないこと、人とかかわることが大切

●更年期障害への対応

  • ・更年期障害が「始まる前」からの過ごし方が重要
  • 月経不順にならないように
  • 月経困難などの“痛み”は不快・不調と認識して対応
  • ・漢方薬膳を「味方」に
  • お手本は『西太后』。更年期障害に悩まされたが薬膳茶や漢方で苦しみを軽減。平均寿命が45歳だった時代に70歳まで生きた。
  • 漢方薬膳の養生は効果あり

 篠原さんは講義を聞きながら「女性だからこその経験をふまえ、更年期障害とのその後の人生に対して薬剤師が伝えられることが漢方薬膳だ」と自身の取り組みがもつ意味を改めて見直しました。

 更年期はネガティブな印象をもたれることが多々あります。中には、閉経で子どもが産めなくなったら女性の人生は終わり、とまで考える人も。篠原さんは、「更年期は女性にとって第二の人生のスタート。長生きするだけでなく、いつまでも若々しく元気な日々を」と考えています。1996年から24年間、毎月続く漢方薬膳講座は、女性薬剤師だからできることを、という思いが原動力のひとつになっています。