20年前からアロマ・ハーブを導入して身近な健康観の提案に取組む

「西尾薬局 フローラメディカ」富山県富山市/西尾公秀・茂美氏

薬局における「健康へのきっかけ作り」に確かな手応え掴む

 具体的に西尾薬局では安静や癒し、気分転換をもたらすアロマ・ハーブの提案を通じ、病院へ行くほどではないものの『なんとなく不調』『少し気になる』といった相談が幅広く寄せられるようになっています。調剤やOTC薬販売では取り込めなかった悩みへの対応を踏まえて公秀氏は、「健康へのきっかけ作りも地域の薬局の重要な役割。いわゆる統合医療、代替医療のような要素を薬局が組み込むことにより、もっと深く地域の方に関われる可能性を広げられると実感しています」との手応えを語ります。

 オリジナル商品に取組むのも、身近な悩みの解消においてアロマやハーブを生活に取り入れてもらいやすくするのが目的。匂いのない基剤のみの化粧水やスキンケアのジェル、入浴剤を独自に揃えることで、知識を持ったスタッフと相談しながら自分に合ったものを添加できる体制にあります。

 「『今日は冷えるからお風呂にショウガとオレンジの香りを入れよう』『疲れているからラベンダーを』といったように、自分の体の状態や気持ちに合ったアロマやハーブを選ぶという習慣作りに繋がります。そうして意識し出すと、食事や運動などにも気を配るようになったりしますし、結果としてセルフメディケーション意識が高まることが理想です。病気になる前の段階で日頃から自分の健康を考えるための提案を図る上で地域の薬局はすごく良い場になると考えています」と茂美さん。最初は香水が好きでアロマに興味を持って訪れた人が固定客になり、1年ほど通うと『長年悩まされていた鼻炎が楽になった』といったケースも少なくないそうです。

 これらは本店に限らず調剤実績が9割を占める他の支店も同様で、ほとんどのスタッフがアロマ・ハーブの知識を備え、例えば春先には花粉症対策のハーブティブレンドや、鼻をすっきりさせるアロマ軟膏を提案するなどの取組みを図っています。当初は女性視点でスタートしたものですが、茂美さんによると「一般的な認知の高まりに応じて最近は男女を問わず興味を持ってきてくださる方が増えており、また認知症対策での有用性を指摘する医師が注目をされたことなどから、高齢の方々の相談や問い合わせも目立ってきています」とのことです。