きめ細かな小児対応を起点に町の頼れる薬局として定着

「うさぎ薬局」千葉県船橋市/鳥巣啓子氏

母親層からの強い信頼をもとに地域での役割を拡げる

 さらに、うさぎ薬局では相談対応をより充実させるべく、薬歴や相談履歴のある人に対して電話やメールでの24時間対応にも取り組んでいます。実際に『子どもの具合が悪くなったがどうすればいいか』といった問い合わせも少なくないようで、そのような相談内容からも同薬局に対する母親たちからの信頼感が窺い知れるところです。薬局を利用する人たちの間では「体調不良になったらまずはうさぎ薬局に相談」という考えがしっかりと根付いているようで、そうした姿はまさに古き良き薬局の在り方を彷彿とさせます。

 またメールで送ってきた人には、その後の様子をメールで確認したりとアフターフォローも徹底しており、そうした親身な対応がファンの拡がりにつながっているようです。

 生活者とのコミュニケーションにも積極的で、薬局ではセミナーやイベントなども定期的に開催しています。テーマも薬や健康に関することから、薬局の活用方法など幅広く、また絵本の読み聞かせや子守唄の紹介といった育児に関する内容も一際人気が高いそうです。「子どもが薬を飲むには親子の関係性も重要で、信頼できる親だと子どもも嫌がらずに薬を飲んでくれることが多いです」とのことから、親子のスキンシップの大切さを伝える取り組みも行っています。

 調剤薬局やドラッグストアなど、近頃さまざまなところで行われている子ども薬剤師体験に関しても、うさぎ薬局では調剤体験だけにとどまりません。しっかりと“服薬指導”まで行う独自性もこだわりの部分で、例えば調剤体験で作った薬(お菓子)を自分よりも小さい子どもたちに「1日1回おやつの時間」に“服用”するよう説明させたり、嫌いな野菜を聞いてそれが入った野菜ジュースをシロップ剤として渡すことでしっかり野菜を摂取するよう促すなど、アイデアに溢れた楽しい取り組みを実施。優しく服薬指導をする子ども薬剤師の姿は、鳥巣氏が強調する“説明できる薬剤師”そのものであり、「中には『将来は薬剤師になる』と言ってくれる子どももいるんですよ」と、可愛い後輩薬剤師の誕生を今から心待ちにしている様子が印象的です。