「ほし薬局戸沢店」山形県最上郡戸沢村/星利佳氏
開業から1年が経過した今では、診療所の処方せんを持たない人の来局も目立ち始めており、まさに健康ステーションとしての手応えを得ているようです。村内を巡回する地域バスの停留所が近いことから、東北の山間の厳しい冬季事情を経て、なんと薬局自体が“待合室”を担うことになったのも村での存在感に繋がる大きな理由です。
バス停には『待合室 ほし薬局戸沢店』と記されています。「役場に来たついでに一休みされたり、うちでバスを待っているうちに住民どうしでの交流が深まったりしています。朝食を食べず検査に来られる人のためにパンを扱うようにもなりました」。
コミュニティの場となった薬局では、「『そういえば○○さんの元気がない』『うちの娘がこんな症状に』といった情報も身近に寄せられ、よろず相談的な対応が増えてきました」と言います。そこでは様々な相談応需からサプリメントなどの提案、栄養士や情報誌を通じた健康維持の啓発と、健康ステーションの機能は村民からの支持に比例して高まる一方となっています。
「こうした経営内容は限られた山村の薬局ならではでしょうが、本格的な高齢社会に向けて薬局の機能を広げる経験を積むことの意義は大きいと感じています。新庄店では数年前から手がけるIVH調剤がようやく軌道に乗りつつありますし、3つの薬局機能を連携させながら地域包括ケアのなかでの役割を高めていきたいと考えています」と星氏。戸沢店では今後、検体測定室の導入を検討しながら疾病予防への働きかけを模索するとともに、薬局に勤務する栄養士の訪問業務拡大などにも意欲を寄せています。
村で初めての薬局を舞台とした星氏の理想の追求はまだまだ始まったばかりです。
(取材実施:2015年6月)
編集:薬局新聞社