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服薬指導に添えたい冬のおススメ食材

薬剤師トレンドBOX#30

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寒さも一段と厳しくなり、いよいよ冬本番となりました。 冷えやすい冬を健康的に過ごすためには、体温を上げて免疫力を高めることが大切です。
今回は、風邪や冷え性の予防・改善に役立つ、服薬指導に添えたい冬のおススメ食材をご紹介します。

体調管理の基本はバランスのよい食事

風邪予防として大切なことは、原因となるウイルスが体内に入ってきた時にしっかりと抵抗できるからだを保つことです。 そのためにはまず、栄養状態が良好であることが重要です。

体調管理の基本は、糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルの揃ったバランスのよい食事をとることです。
特に抵抗力を高める上でのポイントは、タンパク質。タンパク質は主に肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に含まれ、 1食に1品を目安に、特定の食品に偏らないように取り入れましょう。

風邪予防のために摂取したい抗酸化ビタミン

ビタミンA・C・Eは抗酸化作用があり、風邪予防のために積極的に摂取したいビタミンです。 緑黄色野菜は、ビタミンA・C・Eどれも豊富に含むものが多いので、たくさん取り入れるようにしましょう。

● ビタミンA

ビタミンAは、粘膜の乾燥や細菌の感染を防ぎ、風邪予防の効果が期待されます。脂溶性ビタミンの1つであり、油と一緒に摂取することで体内への吸収が高まります。炒め物にしたり、ドレッシングをかけたりすると、体内でうまく利用できます。
冬は、ほうれん草や春菊などの葉野菜が旬なので、和え物や鍋の具材などで取り入れるのがおススメです。
この他、柑橘類も手軽でおすすめですが、果物は糖質の過剰摂取につながりやすいので、みかんであれば1日2個までを目安としましょう。

<ビタミンAが豊富な食材>

肉:レバーなど
魚:うなぎ、アナゴなど
野菜:にんじん、ほうれん草、春菊、かぼちゃ、トマトなど緑黄色野菜
果物:みかん、オレンジなど

● ビタミンC

ビタミンCは、免疫力低下の要因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があります。水に溶けやすく熱に弱いため、そのまま食べられる果物がおすすめです。
冬は、いちごやみかん、柿などを食べることで1日の必要量を簡単に摂取できるでしょう。

<ビタミンCが豊富な食材>

野菜:パプリカ、ブロッコリー、かぶ・大根の葉など
いも:じゃがいも・さつまいもなど
果物:レモン、いちご、みかん、柿など

● ビタミンE

ビタミンEは、末梢血管を広げて血行を良くする作用があり、冷え性の予防・改善が期待できます。
冬に旬となる魚介類はビタミンEを多く含む食材が多いのでおすすめです。

<ビタミンEが豊富な食材>

魚介類:サケ、サバ、サンマ、カニ、エビ、イクラなど
種実類:アーモンド、ピーナッツ、くるみなど
野菜:菜の花、かぶ・大根の葉、ほうれんそう、かぼちゃ、パプリカなど緑黄色野菜

身体を温める食材で冷え対策

冷えの原因は、手足など末端の毛細血管への血流が悪くなることです。 血流を改善し発熱・発汗を促進する食材を取り入れましょう。

● 唐辛子
唐辛子に含まれるカプサイシンは発熱・発汗作用があり、身体を温めます。 お味噌汁やうどんなどに少量の七味唐辛子を振りかける、炒め物を作る際に唐辛子を油で熱して辛みを出すなどして取り入れるとよいでしょう。 ただし、大量のカプサイシンを摂取すると、喉や胃の粘膜を傷つけてしまうので適量を摂取しましょう。
● 生姜
生姜にはジンゲロール・ショウガオールという2種類の辛み成分が含まれています。 生の状態ではジンゲロールが多く、加熱することでショウガオールが増加し身体が温かさを感じるようになるので、 煮込み料理などに生姜をたっぷりと使いましょう。
● ネギ、タマネギ、にんにく
ネギ類やにんにくに含まれるアリシンは血流を改善し、冷えの予防・改善効果が期待できます。 ネギやタマネギは煮物・炒め物にも活用しやすく、鍋や味噌汁の具材にもおすすめです。 温かい料理に取り入れることで、より身体を温める効果を期待できるでしょう。

腸内環境を整えて、免疫力アップ

免疫機能に関わる細胞の多くは腸内に存在するため、腸内環境を整えることは免疫力アップにつながります。 さまざまな発酵食品を取り入れて善玉菌を増やしましょう。
また、きのこ・海藻・果物に多く含まれる食物繊維は腸内細菌のエサとなるため、併せて取り入れるとよりよい効果を得られるでしょう。 キムチは、食物繊維・カプサイシンを摂れるおすすめの発酵食品です。

● 発酵食品

ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌、漬物など

寒い季節の冷え予防の第一歩は、温かい食べ物・飲み物を取り入れることです。
患者さんに「風邪に気をつけてくださいね」とお声がけするだけでなく、料理名や食材、 調理法などの具体的なアドバイスがあると、印象に残り実践しやすくなるでしょう。 ぜひ服薬指導に添えて、健康サポートにお役立てください。

(2022年2月掲載)
編集:学校法人 医学アカデミー

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