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業務の見える化で薬局が
未来の薬剤師に働きかける場に

~可能性広げる子ども薬剤師体験

薬剤師トレンドBOX#3

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今年もあちこちで元気な子ども達の姿が見られた夏休み。行楽地やお祭り、様々なイベント会場などに交じり、最近は薬局内で子ども達が熱心に活動する様子も目立つようになってきました。職業体験教育の定着に絡める形で地域の子ども達を集めて行う、いわゆる『子ども薬剤師体験』企画です。もともとは2006年に日本で初開業したキッザニアに代表される専用施設の登場が契機ですが、現在までに定番的な取組みとして定着するなかで、薬局・薬剤師のアピールを筆頭に様々な可能性を広げつつあるようです。

多くはイラストを使ったわかりやすい資料を作成し、絵本の読み聞かせや紙芝居のように薬局・薬剤師の仕事、薬の役割といった基本事項を伝えた後、薬に見立てたお菓子などを用いて実際にピッキングや乳棒・乳鉢での錠剤の粉砕、軟膏練りなどの調剤業務を疑似体験させるというもの。保護者のお父さんやお母さんを患者役に投薬・服薬指導までの本格的なプログラムを確立する意欲的な薬局もあります。

小さな白衣に身を包み、まさに本格的な“ごっこ遊び”を楽しむ子ども達の関心は当然ながら、付き添いの親たちも大人の社会見学のような雰囲気で興味津々。「子ども以上に親が楽しんでいる」「『待ち時間の意味が良くわかった』『子どもが嫌がらずに薬を飲むようになった』と喜ばれている」といった声も良く聞かれ、毎回申込みが定員を超える人気イベントとなっているケースも少なくありません。

子どもを対象として丁寧に一連の業務を再現する試みは、単純に「薬局・薬剤師の仕事とはどういうものなのか」を知らしめるだけではなく、その機能・職能が実現する医薬品の適正使用、薬物治療の意義、お薬手帳の役割といったことを発信する絶好の機会ともなっています。夏休みの恒例イベントとして今年も子ども薬剤師体験を開催した東京都台東区・みどり薬局の坂口眞弓さんは、「お子さんから親御さんへと伝わり、地域で薬剤師の存在や役割を見えるようにする手応えを感じています」と説明します。

また、参加した子ども達からは『将来は薬剤師になりたい!』といった嬉しい反応もあり、化学離れが指摘される教育への関与という側面も。みどり薬局では子ども薬剤師体験を薬学生の実務実習の一環にも位置付けており、理解度が低い子ども達への説明を通じて学生自身の学びにも働きかけながら、「これからの薬剤師は積極的に社会へ発信する存在であって欲しい」との思いを次世代に伝えているそうです。

実際に子ども薬剤師体験に取組む薬局では、これを足がかりに市民参加型の催しを積極的に仕掛けたり、業務そのものの可視化を意識して調剤室や待合スペースを改装するといった形で発信意欲を高めています。くすり教育が小中学校に組み込まれたこととも相まって、今後の展開次第では地域社会で薬局・薬剤師の新たな存在感を生み出す展開へと発展しそうな気配です。

写真提供・みどり薬局

(2014年9月掲載)
編集:薬局新聞社

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