薬剤師、アートとITテクノロジーを活用中―
「地域全体のQOL」を上げる薬局の在りかた

「なごみ薬局」東京都中野区/渡邊 輝氏

 「時代の変化に伴いニーズも変化するため、サービスは常に変えていく必要があります」と話す渡邊さん。今後、どのような取組みを実施していくのでしょうか。

2020年9月、新店舗オープン

 同局は2020年9月1日、東京都内の赤坂見附に新店舗をオープンしました。真鍮とガラスを用いた内装で地域性に寄り添うデザインを体現しつつ、感染対策を強化して受付を外に設置するなどの工夫もなされています。

継続的な服薬フォローに活かせるアプリの普及とバージョンアップ

 2020年9月より順次施行される改正薬機法において義務化される「継続的な服薬フォロー」。メディカルペイは有用ツールと言えるでしょう。

 また今後は、電子お薬手帳機能を搭載予定です。データ蓄積だけでなく解析できることが特徴で、薬効や副作用症状のフォローアップに役立ちます。また、皮膚症状などアセスメントの実施に役立つ画像データベースなどの連携も検討が進んでいます。

 どんな薬局も参加でき、在庫シェアシステムなども利用できるメディカルペイ。今後のバージョンアップが待たれます。

「社員の笑顔を見るのが好き」―挑戦の背景―

 渡邊さんは薬剤師であり、経営者で、開発者でもあります。役割が多様化していく中、自身が直接患者さんに貢献できる場面が少なくなりつつあると言います。

 「だからこそ、現場で直接患者さんと接している社員には、いつも笑顔でいてほしいと思っています。アートとITテクノロジーの活用により、社員が患者さんにいっそう向き合えるようになると同時に、一人ひとりがいっそうハッピーになってほしいという思いで開発や経営に取り組んでいます」

患者さんと社員、地域のために人を育てる

 “成功の反対は失敗ではなく、『何もしないこと』”がモットーの渡邊さん。「薬剤師という資格にとらわれず、患者さんのため、社員のために何でも取り組む。まず行動してみることが大切」と話します。

 そんな渡邊さんの20年、30年後を見据えた行動は「人を育てること」。未来を担う人を薬局でも地域でも育成したいという願いからです。
 「『人を大事にする薬局』として、『人』を残していきたいと思います。働く人が「薬剤師になってよかった」と思える薬局、社会にしていきたいです」

(取材実施:2020年7月)
編集:学校法人 医学アカデミー