老舗の地盤をもとに若い力とバイタリティで次世代の薬局経営を切り拓く

「マルノ薬局」鹿児島県鹿児島市/丸野桂太郎氏

鹿児島で創業70余年を数えるマルノ薬局は、地域に根差した長年の実績を通じ、高齢社会への対応や在宅医療、ICTの活用といった次世代の薬局経営の可能性に向けて着実に歩みだしています。

大手製薬メーカーのMR経験を経て、2011年から20代半ばで3代目店主として暖簾を受け継ぐのは丸野桂太郎氏。父親で先代の丸野太氏が体調を崩し、残念ながらこの翌年に死去されたことで家業に入る状況が早まってしまったものの、「はじめの頃は馴染みのお客から『あの息子さんが立派になって』などと言われたものですが、そうした父が培った地盤と良いスタッフに恵まれた環境で経験を重ね、最近少しずつながら自分の代でも地域の方々に信頼していただける自信がついてきたところでしょうか」と、老舗の重みをむしろ前向きにとらえて奮闘する姿が印象的です。

郊外の住宅街に構える現在の実質的な本店となる桜ヶ丘店は、保険調剤を柱にOTC薬や漢方、健康食品までを幅広く取り揃える総合的な相談薬局の佇まいにあります。先代までに鹿児島市の中心部に調剤主体の支店を構え、また数年前には地元の調剤薬局を譲受と、売上げの9割近くを調剤が占める経営内容となっていますが、得意とする漢方相談などで薬剤師としてお客から頼りにされる先代の仕事を子供の頃から見ていたという丸野氏は「調剤だけの薬局には寂しさを覚えます」と語り、薬局は医療提供施設でありながらOTC医薬品をはじめとする物販を行い、身近に様々な相談を受け付けられる機能にこそ「地域の薬局として大きな可能性を感じる」と加えます。

継承後は電子薬歴の導入をはじめとするシステム化によって調剤業務の高度化を図る一方で、先代が役員を務めてきた地元薬剤師会、薬局経営者の組織で漢方やOTC医薬品販売の研鑽を積み、品揃えを増やすとともにスタッフに登録販売者となってもらうなど相談販売部門の強化を遂げました。