老舗の歴史を通じた地域密着経営

「アツミ薬局」静岡県浜松市/渥美洋平氏

創業90周年!老舗薬局の信頼を今に受け継ぐ4代目

JR浜松駅から歩いて10分ほど、賑やかな駅前を外れて少し落ち着いた路面にアツミ薬局は構えています。創業は大正13年=西暦1924年と、今年ちょうど90周年を迎える地元でも老舗ですが、白を基調としたデザイン性の高い店構えは逆に先進的な雰囲気すら感じさせられます。「私が東京の薬局での修行を経て家業に入ることになった時、今後を見据えて思い切った改装を行いました」と語るのは、6年前から4代目店主として店頭に立つ渥美洋平氏。父親で先代の渥美勝氏、母親の恵美子さんと文字通り“薬剤師一家”で老舗の暖簾(のれん)を今に受け継いでいます。

近年、面で月100枚ほどの処方せん調剤に対応していますが、洋平氏の代になっても業務の柱はOTC医薬品や漢方、健康食品の取扱いなどを通じた身近な健康相談。「それこそ何代にもわたって通っていただいている馴染みのお客さま」(勝氏)を中心に、長年培ってきた地域での信頼に基づく薬局ならではの経営と言えます。ただ、一方で地方都市の現実として駅前の再開発や郊外型店舗の乱立で周辺商店街の空洞化が激しく、洋平氏は「老舗とは言っても新しい世代の方々には『ここに薬局あったっけ』という感じでしょう。両親とも健在で業務に余裕がありますし、自分が新しいお客さま・患者さんを取り込んで行かなければならない、という決意を改装に込めました」と新たな店構えの思い入れを説明します。